合気道で2人取りは相手の力の方向の見極めが重要です。
スティーブンセガールが映画で見せる多人数を相手に乱取り的に技を繰り出し一瞬にして制圧してしまうシーンをイメージする方も多いと思います。
合気道の演武会等でも師範の模範演武で多人数をいっぺんに制する演武を見たことのある方は、合気道の不思議さと申し合わせしているのではと感じるものかもしれません。
しかし、実際のところ多人数をいっぺんに制することはかなりの有段者でも容易なことではありません。
2人取りの稽古の方法は?
多人数をいっぺんに制する多人数取りをいきなりやることは難解すぎるので、段階を踏んで稽古します。
多人数取りの基本は、複数の受けが諸手を取り静止した状態から始め、通常は2人ないし3人の受けで、仕手は相手を重ねるように技を仕掛けるようにします。
2人取りには、側方入り身投げ、四方投げ、まとめ落とし、前方呼吸投げ等があります。
これらの技もそれぞれ、仕手に対して受けが諸手で持たせた状態から技を仕掛けます。
どの技も2人を相手にしていることから1人に技をかける時とは違い、受けの両者が重なるように技を仕掛けていくことが重要になります。
基本的な仕手の技の動作は、1人に対するものと同等であるものの実際には全くの別物と感じると思います。
しかしながら、仕手の体軸つまり中心線がいかにしっかりしているかを問われる2人取りこそ合気道の醍醐味でもあり、実戦で使用するための第一歩目の稽古といえます。
2人取りの自由技の稽古方法は?
多人数取りで受けが突き、正面打ち、横面打ちといった動きのある状態での自由技での稽古はやり方が変わります。
仕手は受けに対してある一定の間合いを取り、打ち込むタイミングまで静止状態を取り、受けは同時に仕手に対して自らのタイミングで、設定していた当身や攻撃技の突き等を仕掛けます。
これに仕手は、体さばきや当身や突きをかわし、受けの体勢を崩して技を仕掛けるなどの対応をします。
その際の受けのどちらをどう捌くかは、その時の状況の判断によります。
2人取りの受けが当身による攻撃を仕掛けてくる時の対応技の場合、仕手が最も注意しなければならないのは、自分の視界に常に受けの両者をいれておくことと適切な間合いを確保することです。
この場合、当身の利用や体さばきが有用になってきます。
受けが複数になっても体軸と間合いが大切
受けが複数になっても基本は受けが1人の時と同じ体軸、中心線を保持することが大切です。
2人取りの諸手持ちの状態からの技の仕掛け、当身による攻撃の対応技のいずれも仕手側の間合いの取り方、視線のやり方、技を仕掛けるためのすべてのバランスを想像する必要があります。
そのためには、段階的な稽古が必要であり一朝一夕にはできません。
体さばきや技の動きの1人での練習、相対での稽古等々の積み上げの上に2人取りの稽古はできるものです。