合気道の流派のそれぞれで特徴があります。
合気道は植芝盛平翁を開祖とした日本古来の武道の一つで、独自の戦術に精神性を付加した武道といえます。
開祖の植芝盛平翁が基盤を作られた合気道は時の流れの中で、弟子達の合気道の深化と解釈の分化とともに新たな流派が誕生し現在ではいくつかの流派となっています。
最も流派による違いで大きいものは、打撃を取り入れた流派とそうでない流派といえるかもしれません。
開祖植芝盛平翁は当身の重要性を説いてはいますが、合気道の基本概念である「合い和す」ということから打撃による攻撃技を主眼には置いていません。
合気道と名のつく流派は?
合気道と名乗っている流派としては、合気会、養神館合気道、心身統一合気道、岩間流、日本合気道協会、養正館、覇天会、合気道S.A、岩間スタイルといった流派が挙げられます。
これら各流派の中で特に打撃を取り入れた特徴を持つ流派として、覇天会と合気道S.Aが挙げられます。
特に、合気道S.Aは、打撃技を取り入れているだけでなく試合形式も取り入れた特徴を有しています。
一般的に合気道では試合形式を取らず演武という形態をとることからすると、特筆すべき特徴といえます。
その試合形式の参加を自流派のみならず、多流派からの参加も受け入れています。
覇天会も打撃技を取り入れ合気道との連携をはかる流派の一つです。
そのほかの流派には打撃を取り入れた流派はないものの、型の中のみですが当身を多用しているのが岩間スタイルと養神館といえます。
それぞれの流派の特徴は?
打撃についての取り入れによる流派の違い以外での流派の特徴は、次のようなことがあります。
合気会は、合気道人口の9割を占めるとも言われる開祖植芝家の本流流派です。
養神館合気道は、植芝盛平翁の高弟である塩田剛三氏が立ち上げた流派で、警察の逮捕術として採用されるほど実践的な技術を発展させた流派の特徴をもっています。
合気道S.Aは、養神館で内弟子修行された櫻井文夫氏が打撃を加えた合気道の流派で、前述のように打撃を取り入れた特徴を有しています。
心身統一合気道は、合気道の基本概念である「合い和す」というものを「気」という概念に置き換えた解釈を加えた流派の特徴をもちます。
岩間流は、開祖の植芝盛平翁が晩年に起こしたとされる大東流の流れをくんだ荒々しさを持つ流派です。
日本合気道協会は、学校教育での体育として合気道を取り入れることを目的とした流派です。
養正館は、乱取り稽古を取り入れた流派です。
流派の違いは戦術の違いの現れ?
開祖植芝盛平翁が作られた合気道という武道は、そもそも一つのはずですが、武術としての合気道の深化とそれによって解釈の多様化によって流派が分かれています。
各流派によって、それぞれの特徴を持ち、技の名称や体さばきその他の差異が生じているようにみえます。
しかしながら、武道としての合気道の持つ本来の概念や精神性というものは同じといえ、戦術としての合気道の部分に多少の表現の差異といえます。
元々の合気道は一つのものであることからすれば、それぞれの流派の優劣を問うことは愚問であり、各流派の特徴、戦術の違いを踏まえた上で稽古し体得することが最も重要だと思います。
戦術の違いがあるとはいえ、各流派の目指しているものは同じである合気道はどの流派で稽古をされたとしても体得できる真理は一つといえるかもしれません。