合気道で女の人の最高の護身術は危険を察知し逃げることです。
逃げることが護身術とは、合気道でもなんでもないのではないと言われそうです。
護身術としてさまざまな武道があり、危険なことに直面した際にはそれを活用して危険を回避するために稽古しているのにと言われそうですが、それには理由があります。
護身術の中でも合気道は、筋力や体力が男性よりも女の人が一般的には劣ることがあっても、体さばきを体得し、技を駆使することで自分よりも屈強な相手を制圧することを可能にしている武道であることは事実です。
しかしながら、合気道の稽古で技を習得し、いざ実戦で使いこなし相手を制圧できるかといえば、現実にはかなりの高段者でも至難の技になります。
それでは、合気道の稽古をしても意味がないと言われそうですが、そうではないのです。
合気道の稽古で体得すべきことは?
合気道の稽古では、一つ一つの技を型を中心に反復稽古し体得していきます。
それぞれの技で、相手の攻撃や自分からの仕掛けで技を繰り出すものと多種多様な設定に応じた技を稽古します。
基本動作から基本技、そして応用技、自由技と稽古の段階に合わせてより実戦的な内容へと移行していきます。
そして、反復することで体得することを目指します。
しかしながら、合気道の稽古の中で最も習得すべきはその概念ともなっている「合い和す」ということです。
これは、相手と正対した際に相手の状態をいかに判断し、適切な間合いや技を仕掛けるタイミングあるいは相手の仕掛けを待っての応じ技にするかといった判断を下せることを体得すことが本来の稽古と言えます。
このことが合気道において最も大事なことで、自分の体軸を保ち精神状態をいかなる状況にも対応できるようにすることが護身術として活用できる稽古にもなります。
技の構造と使い方を習得することから精神状態の保ち方も同時進行で体得していくのが稽古と言えます。
女の人が合気道を護身術として使える?
暴漢や痴漢に合うのはやはり女の人の方が危険性が高いと思われ、それゆえに護身術として合気道を稽古される女性も多いようです。
女の人がいざという時に合気道を稽古していると思うことで、私は大丈夫と思ってしまうことは大変危険です。
ある程度稽古してくると、いざという時ではなく技を試してみたい衝動にかられる時があります。
ある程度経つと稽古で技を使える感覚を覚え、体の動きも以前と違ってきて昇級昇段してくると実際にどの程度やれるのかと思うことが私も一時期ありました。
合気道の最も重要とされる精神性を忘れたこういう時期が一番危険です。
本当の意味で合気道を体得できている高段者の方ほど、技を使うことに非常に臆病です。
基本的には、合気道の稽古で体得してきた相手の「気」を感じる感覚を駆使し、危険な場所を察し近寄らないことができることが、合気道を使った最善の護身術といえます。
本当の危険に出会ってしまったら?
それでも危険な状況に遭遇してしまったら、まず深呼吸してみましょう。
どんなに危険な状況でも、冷静になり合気道の稽古の中で体得した相手の状況を判断します。
その上で、相手の体勢をいかに崩し隙をついてその場から離れるかを第一義に考えます。
合気道の技を使うことを考えるのは、究極の最後の段階と考えたほうが賢明です。
そのためには、大声を出すことも一つの方法です。
それだけの判断ができること自体が合気道の稽古の成果であり、女の人にとっての護身術ともいえます。