日本の古武術や武道で使用される当身や当身技は、相手の急所を突く、殴る、蹴る、当てるなどの技術です。
合気道においての当身技の代表格として、入り身投げがあり、技自体が当身となっています。
合気道の当身は、他の武道とは多少その目的が違い、急所を一撃必殺の技として利用するというよりも、相手の動きの牽制や、防御反応を利用して相手の体勢を崩すことを目的として利用します。
合気道を実戦で使用すれば「当身7分、投げ3分」といわれるほど、当身や当身技の重要性が高く、稽古方法にも重点をおくべきといえます。
合気道の技の中での当身の意味
合気道の技の中での当身技は、養神館の塩田剛三館長の著書にも、死ぬか生きるかの状況や、多勢を相手にした場合などでは、一瞬の勝負となり、当身や投げでなければ対応しきれないと表現されるほど、実用性の高い技です。
合気道の場合の当身やそれに付随する技では、身体中の至る場所が当身の武器となるとされ、拳や蹴りなどに限定されるものではありません。
合気道において使用する当身には、他の武道でも使用する一撃必殺を目的としたものと、一瞬相手を怯ませたり、体勢を仰け反らせたりするための牽制として用いる場合があります。
その意味では、ほとんどの合気道の技において、当身を利用した当身技と投げ技で構成されていると言っても過言ではないかもしれません。
合気道の当身技が重要視される訳
合気道の多くの技では、仕手が受けに対して当身として、裏拳で顔面に入れるものや正面打ちや横面打ちといったものから始まるものが多く存在しています。
しかも、前述のように切迫した状況下で使用する技には、瞬間的な効果と短時間での相手との間合いの確保が必要となり、そのために当身技が多用される傾向となります。
通常の稽古において、技の型の習得をすることで、瞬間的な当身技の効力をあげるための力のポイントをつかむことが重要で、瞬間的な反応として使用する技として、当身技が重要視されるには、実戦における対応時間の短さが影響しているといえます。
実戦において技を使用する場合、複数の相手に瞬間的な対応が必要なことも多く、そのため当身技を中心とした対応となります。
合気道の技の構造には、人間の骨格や筋肉、力の加わり方での体の反応など、さまざまな要素を考慮して体系づけられており、その瞬間にもっとも効果的なものを瞬時に選ぶことが大切で、その選択のためにも日頃の稽古が重要です。
合気道の技の稽古には、道場での技の型の反復
合気道の技の稽古方法は、道場での型の反復練習に集約されています。
申し合わせの型の稽古から、自分の体勢の維持の仕方から、相手の体勢の崩し方や状況の判断など、さまざまな内容を吸収します。
技の型を反復することで、無意識に状況に身体が反応することが可能となった時に初めて技を使用することが可能となります。
その技の型の中心となるものが、基本技とされる当身技や投げ技の数々であり、道場の稽古の中で師範の指導を受けながら、継続した練習をすることをオススメします。